KOWさんの新作CD「Farkanda At Night」(2022年7月リリース)を購入して、全曲聴いた。くりかえし、何度も。
以下、その感想である。
1, シンプルだがハイブロウでとてもお洒落(これはKOWさんの一つの特色)
2, 基本的には上記なのだが、2「おことわり人生相談」は、古い曲だが、とても繊細かつ複雑に構成・演出している。これまでとは、ちょっと違ったテイスト。
3, 1「地下主義者の夢」、5「市場のイドラ」、6「デルフォイの巫女」のアコーディオン奏者の小俣慎一さんの作詞作曲した世界は、詞が独特で、陰影に富んでいる。事件性もあって、ドラマチック。「デルフォイの巫女」など、デルフォイに行って、不思議な体験を持ったことのわたしには興味津々。小俣さんの世界の特色は、少し陽気なドストエフスキーかニーチェ、という感じ。
4, 3「ロータス」はたいへんエロクて、えぐい。「きみのもと」と、「きみのホト(御陰)」とかと韻を踏みながら、ずいぶん踏み込んだ表現になっている。エロス満喫。これが分かる人、どれくらいいる? 「ホト」は『古事記』に出てくる「女陰」を指す古語です。
5, 4「そこまで言える男は僕だけさ」、とてもKOWさんらしいエスプリに満ちたシャンソン風。
6, 7「Let it beat」の新井圭子さんの「歌声」は不思議な両性具有性を持っていて、とても魅力的(英語ヴァージョンも含めて)
7,8「きみのいない世界」は、全曲10曲中、もっとも切実で現実的なようでいて、しかもどこか形而上学的な歌。自死した友人のことを言っているのかと推測。リアルでヴァーチャルで、メタフィジック。小宮広さんの詞も、曲想も、たいへんドラマ仕立てで、聴き入らせる。
8, 9「オトコ」もKOWさんらしいエスプリに溢れたボサノバ風。「歌オトコ」、せつないね。
9,10「鳥になあれ 魚になあれ」は余韻がある。「だんだん鳥になあれ」「だんだん魚になあれ」というリフレインがシンボリックで余韻を残す。
10,トータルに、<ファーカンダ>の独自性と特色をよく活かしたアルバムだと思った。
ともあれ、2人で独特の世界を構築していますね。
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